遺言
遺言書について
遺産の分割は遺産分割協議によって決めるのが理想的ですが、相続人全員が納得するように分けるのは難しいものです。
そこで、遺言を遺し、不要なトラブルを回避させることが重要です。
遺言は、自分の財産を託す法的な手段として、生前に行われるものです。
一般の方は、なかなか遺言書の効力について把握していないように思いますが、遺言作成のメリットについて生前にきちんと把握しておけば、遺言は大変有効な生前対策と言えます。
- 遺言書を作成しておく最大のメリット
- 遺産分割協議をスムーズに進められる
- 自分の好きなように財産を分けることができる
- 遺言書の内容を考案する祭の注意点
- 財産の確定
- 相続人の確定
- 遺言執行者の選任
- 遺言執行者とは、遺言書の内容を具体的に実現する人をいいます。遺言書に書かれている内容・趣旨にそって、相続人の代理人として相続財産を管理し名義変更などの各種の手続を行います。
- 遺言執行者は誰でも指定することができますが、相続という法的手続きを行いますので行政書士等の専門家にお願いしておくのが一般的です。
また、遺言は文字で残すのが原則で、それぞれ遺言の種類によって法律で書き方が決められています。
せっかく書いた遺言書に不備があっては何の意味もありません。
のちのちのトラブルを避けるためにきちんとした遺言書を作成されることをお薦めします。
費用について
- 自筆証書遺言作成サポート 10万円(税別)~
- 公正証書遺言サポート 10万円(税別)~
- 証人紹介希望者の方は、証人1名につき1万円(税別)加算
- 必要に応じ、公証役場の費用、不動産登記簿取得費用 他などの実費費用が発生します。
遺言の方式
遺言の方式には,自筆証書遺言,公正証書遺言,秘密証書遺言という,3つの方式が定められています。
自筆証書遺言のメリット・デメリット
自筆証書遺言は,遺言者が,紙に,自ら,遺言の内容の全文を書き,かつ,日付,氏名を書いて,署名の下に押印することにより作成する遺言です(すべてを自書しないとだめで,パソコンやタイプライターによるものは無効です。)。自筆証書遺言は,自分で書けばよいので,費用もかからず,いつでも書けるというメリットがあります。
デメリットとしては,内容が簡単な場合はともかく,そうでない場合には,法律的に見て不備な内容になってしまう危険があり,後に紛争の種を残したり,無効になってしまう場合もあります。しかも,誤りを訂正した場合には,訂正した箇所に押印をし,さらに,どこをどのように訂正したかということを付記して,そこにも署名しなければならないなど方式が厳格なので,方式不備で無効になってしまう危険もつきまといます。
また,自筆証書遺言は,その遺言書を発見した者が,必ず,家庭裁判所にこれを持参し,相続人全員に呼出状を発送した上,その遺言書を検認するための検認手続を経なければなりません。さらに,自筆証書遺言は,これを発見した者が,自分に不利なことが書いてあると思ったときなどには,破棄したり,隠匿や改ざんをしたりしてしまう危険がないとはいえません。
また,自筆証書遺言は全文自書しないといけないので,当然のことながら,病気等で手が不自由になり,字が書けなくなった方は,利用することができません。上記のような自筆証書遺言のもつ様々なデメリットを補う遺言の方式として,公正証書遺言があります。
公正証書遺言のメリット・デメリット
公正証書遺言は,遺言者が,公証人の面前で,遺言の内容を口授し,公正証書遺言として作成する安全確実な遺言方法であるといえます。また,公正証書遺言は,家庭裁判所で検認の手続を経る必要がないので,相続開始後,速やかに遺言の内容を実現することができます。
さらに,原本が必ず公証役場に保管されますので,遺言書が破棄されたり,隠匿や改ざんをされたりする心配も全くありません。
デメリットとしては、遺言者にとっては,費用のかかることが難点と言えるでしょう。なお,公正証書遺言を作成するためには,遺言者の真意を確保するため,証人2人の立会いが義務づけられていますが,適当な証人が見当たらない場合には,当事務所で行政書士などの証人を紹介させていただきます。
秘密証書遺言のメリットとデメリット
秘密証書遺言は,遺言者が,遺言の内容を記載した書面(自筆証書遺言と異なり,自書である必要はないので,ワープロ等を用いても,第三者が筆記したものでも構いません。)に署名押印をした上で,これを封じ,遺言書に押印した印章と同じ印章で封印した上,公証人及び証人2人の前にその封書を提出し,自己の遺言書である旨及びその筆者の氏名及び住所を申述し,公証人が,その封紙上に日付及び遺言者の申述を記載した後,遺言者及び証人2人と共にその封紙に署名押印することにより作成されるものです。
上記の手続を経由することにより,その遺言書が間違いなく遺言者本人のものであることを明確にでき,かつ,遺言の内容を誰にも明らかにせず秘密にすることができますが,その遺言書の内容を確認することはできませんので,遺言書の内容に法律的な不備があったり,紛争の種になったり,無効となってしまう危険性がないとはいえません。また,秘密証書遺言は,自筆証書遺言と同じように,この遺言書を発見した者が,家庭裁判所に届け出て,検認手続を受けなければなりません。
遺言の保管
相続が発生したらまず行わなければいけないのが遺言書の有無の確認です。
もし遺言書が出てきた場合にはすぐに開封してはいけません。
なぜならば遺言書の種類によっては開封してしまうと過料その他が発生する場合があるからです。
また、遺言書は遺言者が亡くなった後に相続人に存在がわかる方法で保管しなければ意味がありません。
しかしながら、簡単に見つかって改ざんされてもいけませんので、どのように保管するかは重要な問題です。
遺言は書面で書くことになっていますが、遺言によって自らの意思を実現するためには、その遺言書を相続人に見つけてもらわなければなりません。
発見してもらえなければ、折角作成した遺言は何の効力も発揮しません。
従って、遺言書は遺言者が亡くなった後に相続人らがすぐにわかるような場所で、かつ隠されたり、改ざんされる心配の無い場所に保管しておく必要があります。
遺言書の検認
相続が始まって遺言書が見つかったら、どのようにして遺言が実現されていくのでしょうか。
公正証書遺言は公証人役場に保管されているので相続開始後すぐに適用されますが、それ以外の遺言書はすぐに見つけられない場合もあります。
いずれにしろ遺言は見つかった時点で速やかに、家庭裁判所へ持っていき検認を受ける必要があります。
(検認とは、遺言書の形式や状態を調査して、その結果を検認調書という公認文書にしてもらうことです。)
家庭裁判所では相続人の立会いのもと遺言書が開封され、検認されます。
公正証書遺言は公証人に作成してもらった時点で公文書扱いとなりますから、検認の必要はありません。
検認を受ける前に未開封の遺言書を開封し、偽造、改ざんすることは厳重に処罰される禁止項目です。
遺言そのものが無効になることはありませんが、相続人に刑事罰である過料が科せられるほか、相続欠格として相続権を失うこともあるのです。
遺言の執行
遺言の検認が終わると、いよいよ遺言内容を実現させることになります。
遺言書を実現するにはさまざまな手続きがあり、遺言ではそれを執行する遺言執行者を指定できることになっています。
遺言執行者は必ずしも想定しておくものではありませんが、登記の申請や引渡しの手続き、不動産を遺贈するなど、遺言執行者がいなければ実現できないこともあります。
遺言ではそうした遺言執行者を指定したり、第三者に指定を委託したりすることができるのです。
遺言執行者の指定は遺言の中だけで認められていて、生前の取り決めは無効になります。
職務が複雑になると予想される時は遺言執行者を複数名指定しておくことも可能です。
また、遺言で指定を受けた人が遺言執行者を辞退することも認められています。
遺言に指定がなかったときは相続人や利害関係人が家庭裁判所で選任の請求を行います。
遺言執行者は誰がなってもかまいませんが、法律の知識を要するので専門家に依頼するのが通常です。
遺言執行者は選任を受けると早速遺言の実行にかかります。
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